2003年2月3日から6日まで 

アルプス、ティーニュ、ヴァルデジールのエスパス・キリー(スキー王国)を制覇





 これから始まる4日間のスキーツアーは、半世紀にわたる夢が実現した本当のお話である。
 編集長は中学の頃から、山好きの義兄の感化で、山歩きを始め、大学時代には山岳同好会に入り、休み毎に白馬・八方山荘でアルバイトしながらスキー・2級をとったくらい、山とスキーが大好きだ。
 長男も昨年就職し、スノボーが得意なので、どちらがうまいか本場アルプスで勝負ということになった。

***エスパスキリー(キリー王国)全景、毎日の行程は色で識別
1日目=橙・緑、2日目=桃・青、3日目=黄・桃(途中まで)


 2月中旬はちょうど学童の冬期バカンスにあたり、家族そろってスキーにゆくので、予約は一週間単位で、どこも満員でまず空きはない。直前のキャンセルをねらって、根気良くTELで空きを探すしかない。
というわけで、本場ティーニュの数十件のホテルにあたりようやく幸運にも、現地で最も古いホテル・レヒュージに3泊4日の予約をとることができた。

 往年のフランスのスキー名選手キリーの名をつけた、本場アルプス、テューニュ・ヴァルデジールのエスパス・キリー(空間の意、標高3000mから4000mで、空気が希薄で気持ちが悪くなるくらい)をスキー完全制覇しようという壮大な計画である。

***パノラマ1

***パノラマ2



03―02―03 1日目 パリ―ブルグ サンモリスTGV、駅前からバスでティーニュへ。午後初すべり
 TGVでパリのガール・ド・リヨン駅から乗り換えなしの一直線、わずか3時間、あっという間についてしまう。駅前からのバスは、スリル万点、谷底をのぞきながら、曲がりくねった道をドンドン上がって行く。一時間足らずで標高2千数百mのティーニュ・ヴァルデジールのスキー場に着く。

 泊まったホテルからゴンドラ、リフトまで数十メートルの距離で極めて便利で、スキー・ボード・靴等用具は一流品がすべてレンタルで揃うので持参は不要。フランス人でも自前のスキー持参のひとは殆どいない。おまけにホテルまでなら、テニスシューズで十分だ。売店もたくさんあるので、スキーウエアも現地調達可能で、それこそ、体一つで行くことは可能だが、3000mの標高なので、足腰のトレーニングは不可欠だ。

***ホテル前ケーブルの発着場


 アルプスのもっとも高地にあるティーニュのもっとも旧い山小屋・ラ レフュージの2階の部屋からは、桁違いにスケールの大きい山々に圧倒される。
あーつ、とうとう来たかと思うと感無量だ。 快晴なので、空は濃紺でメガネは外せない。ホテルの前には、強い太陽光線をいっぱいに浴びながら、優雅に昼食を楽しむスキーヤーでいっぱいだ。写真でよく見るおなじみの風景だ。

***ホテル・レヒュージ、 ティーニュで一番旧い山小屋



 早速、ホテルの前のリフトで、標高2748Mまで上る。 ここでも、滑走距離は数キロに及びスノボーがやたらに多い。こんな長い距離を滑ってことがないのですぐ膝にくる。もうちょっとオールドファッションの編集長のスキーウエアがやけに野暮ったいが、結構まともに滑ってはいる。

***初すべり



03―02―04 2日目 ラ グランド モット

 ホテルといっても山小屋の雰囲気で、しかし設備はよく整い快適だ。昨夜は、スーパーで仕入れたビール・ワイン・ハム・チーズ・パン・果物を腹いっぱい食べよく眠れた。

 今日も快晴だ、雲ひとつない。一気に最高峰のラ グランド モット3556Mの直下、3456Mまで、フニクリ・フニクラ(登山電車)で上る。約20分、降りると目がくらくら、頭がふらふらする。空はあくまで青くむしろ濃紺に近い。きついと感じるのは、気圧・空気の薄いせいか。それもそうだ、富士山の頂上と同じ高度なのだ。とにかくすごい、スケールが違うその一言に尽きる。

***5人乗り リフト




 5km以上のコースを休みなしで下ると、午前中だけで疲労困憊しとても体がもたないので、いったん昼飯にホテルに戻る。ベランダで強い太陽光を浴びながら、買い込んだご馳走を飲み食いしリラックスする。小一時間ほど昼寝する。

 再度出発。昨日の東斜面の更に奥に入り、アルベールプルミエ・冬季オリムピックの大回転・回転コースをおり、そのままもう一度昨日乗った登山電車に途中までのり、別コースを下る。 3時過ぎると急に寒くなり厳しさを増す。これで風が出るともうたまらない。この広い空間で迷子や遭難者が出ないのが不思議なくらいだ。しかし、こちらの人は自己責任でしっかり安全管理対策をしており、何から何まで人任せの何処かの国とは違うようだ。

***ヴァル・クラレの村 その先はホテル・レフュージのあるロセ


03―02―05 3日目 ポルト デュ モネ

 きょうはキリー王国の最奥部のポルト デュ モネのカスカード エクスプレス(特急滝)まで一気に足を伸ばす。此処はもう隣のスキー場・ヴァル ディゼールの最高部にあたる。要するに、キリー王国を横方向に上り下りを繰り返しながら横断しているのだ。 急峻な峰峰を一人座席のリフトに乗り、何百mも下を見るのはあまり気持ちの良いものではない。怖いのでなるべく上を見るようにするが高度に慣れるにはやや時間がかかる。

 遠くの山々には、モンブランやグランジョラスといった有名な山が見える。いきなり、下のほうから、二人のりのハンググライダ-が飛び出してきた。もうあたりには、人影もあまりなく、ただ、リフトの黒い筋が山頂まで張り付いている。午前中に、ヴァル ディゼールに降り、バスでティーニュに戻った。

***優美な谷側外形姿勢も今では化石に近い



 ホテルで昼食・休憩後、いよいよティーニュの最後のすべりだ。やはり、最高峰モットへもう一度いってみたい。登山電車に乗る。しかし、体がパンパンでもう云うことを聞かない。途中から降りることにした。最高峰挑戦の退却ではない。下り坂の天気と疲労を考えての勇気ある撤退である。また来る日もあるだろう。

  この3日間で随分山の名前を覚えた。それともお別れかと思うと多少オーバーだが涙が出そうになる。我ながら良くやったと思う。まさに勝手に名づけた"キリー王国"を征服した感激でいっぱいだ。今夜は、ホテルのレストランでワインとうまいものを腹いっぱい食って寝よう。

***満天の月はこの世のものとは思えぬほど荘厳だった。


03―02―06 4日目 ブルグ サンモリス―パリ、ガールドリヨン TGV

 最終日は7:45発のTGVに乗るため6:30にタクシーを呼び、飛ばす。パスの2倍の料金で行く。
防寒兼用のスキーウエアだけだがら、荷物はかばんひとつ、移動はきわめて楽だ。ホテルまで除雪もされているので運動靴でも良いくらいだ。凍てついた雪道をものともせず、タクシの運転手はパンバン飛ばし、手に汗を握る。タクシーの運ちゃんは、自分が遅れた分を取り返し、予定より早く着いたのでチップをくれと言わんばかりで極めて虫が良い。

 予定通り、TGVは出発し、車中で軽食を取り、一眠りしたらもうパりだ。

(”四季の写真集・冬・イベント”参照)