2008-02-11

癒しの巡礼地 ルルド



 スペインとの国境に近いルルドの町は、ピレネーの高い山々に囲まれ、豊かな水の流れるガブ川の音が聞こえるとても澄みきった所である。

 世界中から病気の快癒を願う人たちが押し寄せる聖域。そこのマッサビエルの洞窟で、150年前にベルナデッタが聖母マリアに言われて掘った穴から湧き出した水は現在も滾々と沸き出でており、その水によって病や怪我が治るという奇跡がいまだにおこっている。



 飲めば、あるいは沐浴をすれば誰もが即快癒と言うわけではないけれど、ここに来ている身も心も病んでいる人たち、幌つきの車椅子や寝台車で運ばれてくる病人たちの顔が一様に輝いているのに驚かされる。

 そしてそれらを押しているボランティアの中にはこの水で癒された人たちがいると聞く。またこの水は何度も水質検査をしているが、何年たっても腐らないという不思議な水だそうである。


 毎年聖母マリアの現れた2月11日がルルドの大祭となっており、今年は御出現150年の記念の年ということで、町をあげてのお祭りムードであった。

 山奥のこの町への巡礼シーズンは5月から9月までで、冬場はホテルやお店もあらかた休んでいるが、この2月11日を挟んで前後1週間ほどだけは毎年大勢の巡礼者がやってくるため、普段の6〜7割ほど開いている。

 今年は記念年の為ホテルはほぼ1年前から満室とあって、町はずれの修道院に泊めさせてもらうこととなった。

 2月10日、パリからTGVでルルド入りすると、続々とやってくる観光バスや自家用車で街の中も付近の路上も一杯であった。中でもヴァチカンのあるイタリアからの巡礼者が多くここはイタリアかと思うほど。


 夜9時、手に風除けのついたろうそくを持って集まる人々、聖母マリアの賛歌をうたいロザリオを唱えながらガブ川を囲んで全員で行列をする。フランス語、イタリア語、スペイン語、ドイツ語、英語・・・そして日本語、あ、日本からも巡礼団が来ているようだと嬉しくなる。

 万国共通のルルドのアヴェマリアを歌いながら、皆一斉にろうそくを持った手を挙げる。その光がゆらゆらと大きな輪になって歌声と共にピレネーの山々を上っていく。

 その時人は民族や老若男女健康者も病者もなく心から一つになって共に歩んでいるのを実感する。目が合えば互いに微笑みあい、ろうそくの火が消えると誰かがそっと火を差し出す。誰もが優しくなれるところ、それが聖域であった。

 この聖域にはいくつもの聖堂があるが、極めつけは2〜3万人を収容できる地下聖堂、ただし今回は10万人近い人が集まっているので、2月11日の記念国際ミサは冬山の暖かい日差しのもと、原っぱと呼ばれる広い戸外で行われた。


 町に出ると、いずこも同じ土産物屋が並んでいる。その間を抜けて、町の中心地に上がっていくと、ベルナデッタゆかりの地(生家や家族と住んでいたところ、働いていた病院など)が点在している。

 町の中心、小高い丘の上に立つ城塞に上がると町が一望に見下ろせるが、この時期はもちろん休館である。町外れからはケーブルカーで一挙にピレネーの山の一つに登ることもできる。

 ルルドへのアクセスは、パリ・オルリー空港またはシャルル・ドゴール空港からルルド・タルブ空港へ毎日1便。空港からはタクシーで15分ほど。汽車の場合はパリ・モンパルナス駅からTGVアトランティックでボルドー経由約6時間、いずれも日帰りは無理で最低2泊必要。

 体力に自信があって車内泊の強行軍でということであれば、パリ・オーステルリッツから夜行列車でルルド入りもできるが寝台車ではないので正直言ってきつい。(約9時間)

 宿泊は四つ星から二つ星までホテルがたくさんあるが、ガブ川を越えた聖域に近いところにある三ツ星のホテルがお勧め。3食付で2人1部屋大体60〜70ユーロ、食事もおいしい。